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Y面子のお話。随時更新します。
ヴァニタート勢のおはなし。
狐の落としもの(new)
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――親愛なるヴァニタートへ。
お前のやり方にはほとほと愛想が尽きた。
俺は俺のやり方でやる。
いつかそこに辿りつく。首を洗って待ってろ。
「…という訳で、リュミエール殿の部屋は空。貴重品も無くなっておりましたし、出て行ったものかと。」
「そうか。」
早朝、ヴァニタートの部屋には、親衛隊長ジルバの姿があった。その事自体は別段珍しくもないのだが、今回は少しばかり訳が違った。
「驚いていないのですね、予想の範疇でしたか?」
「まあ、そんな所だ。遅かれ早かれこうなるとは思っていた…」
ヴァニタートは卓に置かれた書類…リュミエールが黙って持ち出した『それ』に関する資料…を指先で弄ぶ。
「密偵に後を尾けさせています。不敬罪とかなんとか適当に理由を付ければ始末できますよ。如何致しましょう?」
「人材の無駄遣いだ。さっさと戻らせろ。」
「宜しいのですか?」
「あいつの行動は大方予想が付いている。それに…」
そう言いかけた時だった。
「バニちゃ~~ん!!」
「…っ!?」
扉を突き破るように小さな影が部屋に飛び込んで来た。それに反応したジルバが剣を構え、一瞬にして部屋に殺気が満ちる。
「なんだ、パムクーレか…」
影の主を確認したジルバは安堵したように剣を納めた。…その幼い外見からは想像もつかないが、パムクーレという女は相当な手練れである。歴戦の猛者であるジルバが、その気配を察する事が出来ない程度には。
「…や、お話中?なあなあ何話しとるん?ウチにも教えて~」
パムクーレはジルバの存在に気付くやいなや、素早く二人の間に割り込む。そしてその背中に手を回すと、まるで肩を組むようにして抱き締めた。
「いや、話途中なんだから出ていけ。お前が居ると話が進まない。」
しかしヴァニタートは迷惑そうにしている。というかただの迷惑である。パムクーレは大事な話の時に限って割り込み、話を引っ掻き回し、そして何事も無かったかのように去って行く、そういう奴なのだ。
「ジルちゃんもバニちゃんもお友達やん?お友達とは一緒におりたいもんやん?」
「やんやん煩い。お前が居ると部屋が臭う。」
「甘いええ匂いやん!」
ヴァニタートは鼻を押さえながらしっしっ、と、獣を追い払うようなジェスチャーをした。パムクーレもパムクーレだが、ヴァニタートも彼女相手だと若干緩くなる所が無い訳では無い。
「まあまあ、抑えてくださいヴァニタート様。パムクーレは私が責任を持って遠くへ置いてきます。」
そしてジルバはいつも通り、真面目に対応する。
「頼んだ。」
「捨て猫みたいに言うなや!」
「実際似たようなものだろう。転がり込んで飯を貪って。」
「うん。」
「じゃあそういう事で。悪いな、パムクーレ。」
ジルバはパムクーレを肩に担ぐと、そのままヴァニタートに背を向けた。
「あーいやーー嫌ーーーバニちゃんーーー!」
肩の上のパムクーレはじたばたともがき、ヴァニタートに向かって手を伸ばす。しかしガッチリと掴まれているせいで逃れられる様子では無い。
「…冗談だ。ジルバ、下ろしてやれ。パムクーレにも用があるからな。」
「はい。」
「ジルちゃんっていっつもそこはかとなく酷いよなぁ…」
…パムクーレが来ると話が進まない、というのはこういう事である。
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